第94章 今を生きる
無言の一兄に手を引かれて廊下を歩く。
俺達粟田口は、さっきまで居た部屋以外に、脇差、打刀、太刀で部屋が別れてるんだ。
さっきの部屋が粟田口専用広間兼、短刀の寝室。隣が鯰尾兄さんと骨喰兄さんの部屋、その隣が鳴狐の叔父さんの部屋で、その隣が一兄の部屋って続くんだぞ!
…で、今は方向的に一兄の部屋に向かってる。やっぱり怒られるよね、主を連れてったのは流石にまずかったよな。
「さぁ、包丁どうぞ?」
「‥う、うん。」
一兄が部屋に入るように促して、俺の肩を押す。こっ、ここかぁ……こ、怖くなんかないぞ。うぅ‥けど、人妻に撫でてもらわないとやってられないぞ。