第93章 白妙
「主の言う、主からの言葉を聞かせてもらえませんか?」
「い、今っ!!?」
「あるじ…俺、頑張って探したんですよ?」
「ずるい!ずるいよそんな喋り方ぁ!」
「‥主。」
俺の手を強く握って、首を振っていた主だったが、じっと目を見詰めていると観念した様に口を開いた。
「…人は生まれてきた以上は死ぬ定め。それは変えられないよね‥私はただの審神者だから、後に語り継がれたいとか思わないし何かを残そうとも思わない。けど、私の生きた証、今を生きている証がうちの本丸そのものなの。だから、今を一緒に生きて欲しい。‥長谷部に、皆に伝えたい、大切で大好きだよって。」
「……っ。」
「長谷部、私と一緒に今を生きてくれないかな。」
にっこりと柔らかく笑う。大切に想ってるんだよ、君が必要で大好きなんだ。そう言ったあの時と同じだ。