第93章 白妙
嬉しそうに笑う燭台切の向こうで、大倶利伽羅が呆れた様に首を振る。
「主ちゃんの前では格好良く決めたいよね!」
「好敵手だか何だか知らんが、敵が何であれ、斬るだけだ。」
「ふふ、長谷部君には渡さないからね?」
「はっ、それは俺の台詞だ。燭台切、お前だけには渡さない。」
「……あいつ、今頃くしゃみしてるぞ。」
後ろで、ぼそっと呟いた大倶利伽羅の台詞に、いけないいけない!と慌てた燭台切がこちらを向いて座り直す。
「長谷部君、主ちゃんからの伝言…というか指示というか‥まぁ、見てて。」
「指示?何だ?」
こくりと頷いて正座をした燭台切が真面目な顔をして、あっかんべー!と舌を出した。
「……はぁ?」
「‥うん。だよね、そうなっちゃうよね。」