第93章 白妙
「どうした、お前ついに自分も小判になりたくなったのか?……なぁ、博多?」
「そーじゃなか!…って、ん?長谷部?」
開いた小判箱の中から物音の正体を抱き上げる。驚いて目を丸くした一期一振が見詰めるこいつは、博多藤四郎だ。
「博多?」
「一兄!そげな顔してどげんしたと?‥長谷部!さん、のー、がー!」
抱き上げた博多が俺の腕を引っ張って、掛け声を掛ける。ああ、成る程な任せろ。
「ふっ、落ちるなよ?…さん、のー、がー、はい!」
標準語で言えば、いっせーの、せ?か?まぁそんな感じだろう。抱いていた博多を一期一振目掛けて放り投げると、宙に浮いた博多へ慌てて手を伸ばす。
「は!長谷部殿!?博多っ!」
「一兄、久しぶりやね〜!元気にしとったと?にしても不思議な服やね。」
一期一振の腕に飛び込んだ博多が嬉しそうに笑う。