第92章 夜桜

「ああ、軽食とお酒の肴を重箱に詰めてるよ！歌仙君や長谷部君、それに小夜君や伽羅ちゃん、鶴さんが居るね。」

「いつもの厨組ですね！あ、じゃあ僕、内番してる兄弟達も呼んで行きますよ。人手は多い方が良いですしね！」

さーて、僕も頑張らないとね！と腕捲りして庭へ向かう堀川君を見送って、膝に手を付き立ち上がった和泉守君が主ちゃんの肩に肘を付く。

「はぁ、あんたも何でもほいほい聞いてんじゃねーぞ？…んじゃ、オレ達も行きますか。」

ぺちっと、軽く主ちゃんの額を指先で弾いた和泉守君が、長曽祢さんを見て視線で合図する。この二人、何だかんだ言っても仲が良いんだよね。

「ではな、主。また後で。…ああ、忘れていた、お帰り。」

踵を返した長曽祢さんが主ちゃんの頭にぽんっと手を置くと、そう言って部屋を出た。