第92章 夜桜
「主ちゃん、どうする?あーなっちゃうと二人とも止まらないんじゃないかな。」
「うーん。堀川君、何か無い?」
「あ、主さんちょっと…」
堀川君が主ちゃんを引き寄せて、こそっと耳に何かを囁いた。
堀川君のが少し大きいくらいかな?黒い頭が並んで兄弟みたいで可愛いなぁ。なんて余所見してると、視界の端でこくこくと頷いた主ちゃんが両手を口元で構える。
「兼さーん!こっち向いて!かっこいー!!」
「はぁ?おまっ…あだぁっ!!?」
「うわっ!!だ、大丈夫!?怪我しなかった!?」
余所見したのは僕だけじゃなかったみたいだね。主ちゃんを見て固まった和泉守君の頭に綺麗に長曽祢さんの降り下ろした竹刀がぶつかる。
「悪い、大丈夫か!?」
「くっそぉ……」
「ごめん兼さん、僕が思ってた以上に効果覿面だったみたいだね。主さん、ちょっと撫でてあげてくれない?」