第92章 夜桜
鍛練場に近付くにつれ竹刀のぶつかる音と声が聞こえてくる。新撰組の子達が居るのかな、和泉守君や長曽祢さんの声がするね。
「兼さん!ちょっとは休憩しないと…」
「あ?んなもん、まだ必要ねーよ!こいつをぎゃふんと言わせてねぇからなっ!‥そらよ!」
「ぎゃふん?そっくりその言葉返してやろう!おれは止まらんぞ!でぇりゃあ!」
ああ久し振りの光景だね。僕も鈍った腕を何とかしないとなぁ‥
「皆ぁ!練習中にごめんね、今ちょっと良いかな?」
主ちゃんが両手を振って、入り口近くに居た堀川君や加州君、大和守君の傍へ寄る。
「ん?あ、主。どうしたの?主が稽古見るなら俺も頑張っちゃうよ?」
「主さん、お帰りなさい!主さんからも言って下さいよ。兼さんたら全く休まないんですよ?」
「あの二人はいつもあんな感じだしねぇ‥」