第92章 夜桜
「……やる気ないのは自分の専売特許のつもりなんですけどなぁ。‥それに蛍丸の事はこれでもかって程褒めたやんか?聞いた話やと、長谷部に脇差の白いのやろ、それに太刀の源氏兄弟とそこの黒いあんたに、大太刀の派手なのと緑色んの。もういっぱい居るやんかぁ…」
「…っ!だからってねぇっ!?」
「国行も蛍も、もうやめろよー!」
止めようと手を伸ばそうとした寸前、主ちゃんが明石君の前に出る。
「私、この本丸の審神者。来てくれてありがとう、これからよろしくね、明石!」
頭にあった手をぱっと握り、両手でぶんぶんと振る。
「ぇ…は?なんですの?」
「主?」
「よろしくって言ったの。それに、蛍ちゃんも練度上げ終わったんだね!お疲れ様、来て日も浅いのに偉かったねー!」
そう言い終わる前に、ぎゅーっと蛍丸君を抱き締めて、嬉しそうに頭を撫でる。抱えられた蛍丸君の手が、わたわたと宙を舞う。