第92章 夜桜
「お花見かぁ、良いよねぇ。僕はのんびり花弁が舞うのを見るのが好きだよ。」
「兄者はいつも縁側で見ているからな。」
「俺は花より団子食べるのが良いんだけど、団子はあるのか?」
「ああ、花見は良いな。…しかし主、花見ならうちの庭でも出来るが、改まってどうした?」
三日月さんが、主ちゃんの口に付いた大福の粉を指先で拭いながら聞く。そういえば、本丸の庭もいつの間にか雪景色から変わったもんね。
「む?むぐ…っん。えっと、夜桜をね、見に行こうと思ってるの。」
「夜桜ですか?それは、ぬしさまの時代でという事でしょうか?」
鶯丸さんが渡したお茶を飲み干して、手を合わせご馳走様でした。と頭を下げ、ふぅと息を吐く。
「うん、大人数だからちょっと大変かもだけど、お花見の頻繁期は過ぎた筈だからなんとか‥」