第92章 夜桜
「一期、皆居る?今、良いかな?」
「え?あ、主様の声ですよ、一兄!」
「そうだね。はい、弟達は皆居りますよ。どうなさいました?」
すっと襖が開くと、粟田口の皆に囲まれた一期さんが部屋の真ん中に座っていた。一期君の前に座っていた極になった子達がこちらに手を振る。
「わざわざありがとう、乱君。」
「ううん、それより二人ともお帰りなさーい!」
襖を開けてくれた乱君がにっこり笑って、部屋の中に入る様にと促す。
「大将に燭台切の旦那、どうした?厨へ行ったんじゃなかったのか?」
「あぁ、行ったよ。それで皆に報告する事が出来たから来たんだ。ね、主ちゃん?」
「うん。実は今夜、向こうで観桜会をやるつもりなんだ。だから皆で行こうね!」
向こうって主さんの時代でって事だよね!?と、嬉しそうに乱君が跳ねる。