第89章 夢路
「んんっ!?」
「……俺があんたの薬になってやる。眠れないなら眠れる様にしてやる、寂しいなら考える暇も与えない。」
ベッドへ押し倒し、逃がさない様にきつく抱き締める。
久しぶりに触れるこいつの温もりが心地良い。細い肩と腰、すぐに折れそうな腕、全てが愛しくて仕方ない。
困った様に下げられた眉と、白い喉に軽く口付けると、顔を赤くして目をぎゅっと瞑った。
「……。」
「っ!?」
名前を呼ばれた事が意外だったんだろう、驚いて目を見開く。
…ああ、それで良い。ちゃんと俺を見ろ。その瞳に俺を映せ。俺をこんな風にしたのはあんただ、責任はしっかり取ってくれよ。
「…?」
瞳に映った俺が微笑んでいる。そうか、こいつの前ではこうして笑えるんだな。