第85章 暦
「ところで、うちの本丸には鳩さんが二羽居てだね…」
「「は、え?…本気かよ大将‥」」
「「あれだろ?修行呼び戻しの。今朝三日月の爺さんが餌やってたあれ…」」
「だって寂しいじゃん!!それに次の任務先、江戸城だ、し‥むぐぅ!」
ったく、こいつは何言ってんだ。
寂しいから早く帰ってきてくんなきゃ嫌だ!と騒ぐのを後ろから押さえる。
「……こいつの事は気にするな、お前等は自分のしたい事をしてくれば良い。良い経験になるはずだからな。」
「「大倶利伽羅さん、あんた変わったなぁ。オレ達短刀には前から優しかったけど、雰囲気自体柔らかくなった気がするぜ。」」
粟田口の厚とは池田屋で一緒に戦った。こいつの頑張りは知ってるからな。
「…どうだろうな。それより早く帰ってきてやってくれ。」
こいつが泣く前に、と言うと二人揃って大きく頷いた。