第10章 天空闘技場
額には奇妙な十字の刺青、ヒソカとお揃いのオールバック、そして黒いコート姿の男の人は、いつの間にかそこに座っていた。
「遅くなってすまん。用が長引いてしまってな」
私は何故かその人に見覚えがあった。初対面のはずだけど…?確か名前は…クロロとヒソカは言ってたか。
……ん?クロロ?私はその聞き覚えのある名前に首をかしげた。
「…………思い出した。幻影旅団のリーダー……ってことは今日会う相手って、幻影旅団だったんだ…」
「そっ♡」
ハッとそれを気づいた時、私は色々なことがひとつになった。私が属する幻影旅団、お店にいたマチ、ヒソカの話したいこと……………
「……ヨリを戻すとかじゃなかったんだ………」
変なことを言ってなかっただろうか…。頭がおかしいやつだと思われなかっただろうか…。まさに今の私は、穴があったら入りたい状態。私は頭を抱えた。唯一の救いは、誰にも私の勘違いに気づいていなかったということだ。
「ヒソカ、あんた言ってなかったの?」
マチさんが呆れた様子で、ヒソカに聞いた。
はい。何も聞いていませんでした。だから今、かなり違う方向で早とちりをしてしまった自分に、後悔の念を抱いています。
「それでヒソカ。その子が例の子か?」
「そう♡ 名前はアルミ」
「ふむ。お前の推薦だから、実力は折り紙つきだろうが……」
私の顔をじっと見る団長さん。
「団長。俺は反対だぜ」
そんな中、先程から口数が多かった侍みたいな人が、口を開いた。
「ノブナガか。言ってみろ」
「まぁ、その野郎の推薦ってことがまず気に入らねぇが、いちばんの理由はそいつから強さが感じられねぇんだよ。今まで色んな奴と会ってきたが、ほぼ断言していい。こいつは俺たちと共に行動できねぇよ」
どんな能力かは知らねぇがなと、ノブナガは私をちらりと見る。
確かにそうだ。幻影旅団がどれ位の規模のグループなのかは分からないが、ヒソカが認めた相手が率いるグループなのだ。強くなくてはおかしい。そんな彼らが私を品定めし、メンバーには入れないと言えばそうなるのだ。………困ったな。
「キミの言い分は分かった♦ じゃあ、彼らで試してみたら?」
黙って聞いていたヒソカが、くくくっと笑って私たちが入ってきた扉の方を見た。すると、そこには数人の巨体を持つ人たちが立ちはだかっていた。
