第10章 天空闘技場
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「やぁ、マチ♡」
「げっ…あんたか」
マチは丁度、お昼を取っている最中だったようで、食べていた手を止め、ボクを嫌そうな目で見た。
その目もいいなぁ♡
「こんなところで会うなんて奇遇だね♦ 」
「奇遇もなにもあんたが収集させたんでしょ」
奇遇もなにもあったもんじゃないよ、彼女は言う。だが、彼女がここにいるってことは僕の言い分が通ったということ。
「なんだかんだ言いながらも、クロロに伝えてくれたんだ♡」
助かるよと、ボクは言った。すると、マチはふんっと鼻を鳴らし、昼食を二口で食べ終わると、席を立った。
「もう行くのかい? 良ければお茶でもと思ったんだが」
「アンタとだなんてお断りだね」
相変わらずのつれなさだ。
「彼女も一緒なんだけど♣」
「それでもお断り」
そう言って、背を向け、立ち去ろうとした時、
「あ、忘れてた。団長から。時間も場所もいつものところってさ。団長、アンタの紹介だって言ったら、興味持ってたよ」
「それはよかった♡」
忘れていた伝言も伝えたので、今度こそ立ち去るかと思ったが、マチは最後に振り返って口を開いた。
「だから、肝心のあの子、ちゃんと連れてきなよ」
「ん?♦」
ボクはマチの言葉に首をかしげた。あの子?ボクは後ろを振り返った。
「……………あ。」
ずっと近くにいるものとばかり思っていたアルミの姿は、そこにはなかった。
「最初からいなかったわよ。ちゃんと見ておかないと、あのくらいの子だったら結構すぐにいなくなるから」
面倒見のいい彼女はそう忠告し、そして今度こそ去っていった。