第10章 天空闘技場
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雰囲気から分かってはいたが、やはりこの子はただの連れってわけじゃなかったようだ。まぁ、この変態と一緒に歩けるやつなんざ、ただ者じゃねぇことくらい理解していたが。
「……店にいるんだ。少しくらい飲んだらどうだ?」
俺はそう彼女に勧めた。すると、彼女は笑って、いただきますと言った。
「……トイレなら向かって左だ」
しばらくして、彼女は席を立った。俺はついトイレの場所を言ったが…多分アレは電話をしに行ったのだろう。慌ててそちらへと向かう彼女の後ろ姿を見ていると、
「可愛でしょ♡ キミも気に入ると思ってさ」
ヒソカがそんな俺の様子を見て、笑いながら口を開いた。
「お前がただのガキを連れてるわけないと思っていたが、なるほどな。お前が好きそうな部類だ」
「流石だね♦」
「この仕事、何年もやってたら嫌でも分かる。アレは厄介だぞ」
「知ってる♣ でもさ、苦労した方が、後から数倍になって帰ってくることあるでしょ」
彼女はその苦労に値するってわけか…。久々に嫌な時のコイツを見たな。
「何も聞かないの?」
ふと、ヒソカがそんなことを言った。俺はため息をつく。
「仕事だからな。俺は金を貰って情報を売る。それ以外は必要ねぇよ」
「くくくく♦ボク、キミのそういうところが好きで、通ってるんだよなぁ♡」
気持ち悪いことを言うなと、俺はヒソカの空のコップを下げた。