第10章 天空闘技場
「ほら、こいつがユーリだ。確かに、お前が好きそうな奴ではあるな」
マスターはぽいっと1枚の写真を投げた。青い髪の男の人の写真だった。後ろにはいる髪を上でひとまとめにしたユリ・チャンプもいる。
「代金は?」
「…おまけだ」
ユリ・チャンプ…。彼女は生粋の男好き…。だったら……私は男の人の格好をして、近づくということになるのだろうか…。そして、秘書ともいい感じに仲良くなって…………アレのことを聞く……ということか…。
「………でも、男の人の格好なんてしたことないし…。一目でバレそうだよな………んー」
私が写真を見ながら頭を捻らせていると、
「男装したキミも中々そそるものがあるけど、その必要はないよ♣」
どうやら考えが口に出てしまったようだ。私は気恥しさを覚えながら、尋ねた。
「え?ということは、ヒソカが近づくの?? でも、それは……」
私のことなのに、申し訳ない気が……。しかし、ヒソカは楽しそうに首を横に振った。
「残念ながら彼の相手はキミだよ♣ ボクがアプローチしても彼は振り向かないからね」
私はどちらかと言えば、ユリ・チャンプのことを言っていたのだが…………ヒソカの中ではユーリという人物が頭から離れないらしい。
「お前、それを知っててここに来たのか?」
さらに呆れた様子でマスターがヒソカに言った。ヒソカはくくくっと笑った。
「奇術師に不可能はないってね♡」
「それならわざわざ俺のところに来なくてもよかったじゃねぇか」
本当に分からないやつだと、マスターは言った。