第5章 glass heart【赤葦京治】
「何か今から緊張してきちゃって。どんなこと話せばいいかなぁ?」
「別にいつも普通に話してるじゃん。それでいいんじゃない?」
「うん…。あのね、赤葦さんと二人になる時、いっつもこんな心配するの。普通に話せるかなぁ…って。でもね、話せるの!何でだと思う?」
「さぁ?」
「赤葦さんが些細な話題でも話を広げてくれてるんだよ!お喋りなわけじゃないのにね。聞き上手ってことなのかなぁ。これ気づいた時、感動したもん!」
少し興奮した面持ちで、目を輝かせながらこちらを見上げてくる汐里。
赤葦さんを想いながら紡がれる言葉が、僕へと向けられている。
その事実に、チクリとしたものが胸を刺す。
「でも、もし話題が途切れちゃったらどうしよう。私面白い話なんてできないし。ツッキーなら女の子と二人の時、何話す?」
女の子と二人…。
汐里とは散々二人きりになったことあるのに…
その"女の子"の中に、汐里自身は入らないんだ。
「急に言われても…。ここんとこの暑さの話とか?」
「そんなの、会った端に話さない?」
「知らないよ。っていうか、適当に赤葦さんが話振ってくれるんでしょ?さっき自分でそう言ったじゃん」
「でも、時事問題とか話題にされても付いていけない!」
「汐里がバカなの知っててそんな話題出すわけないし」
「酷い!赤葦さん任せにして退屈な女だと思われたくないから、聞いてるのに!」
「……」
あー、イライラする…何でこんな恋する乙女みたいな悩み抱えてんの?ていうか悩みじゃなくてノロケ?どっちにしても、僕に聞くようなこと?
「それなら、沈黙したタイミングで告白でもしたら?」
苛立ちに任せ喉の奥からスルリと出てきたのは、そんな言葉だった。
自分でも驚く。
こんなこと言うつもりは、毛頭なかった。
何故か汐里の顔は見れぬまま、交互に運んでいた足を止めた。
「な…に言ってんの…!できるわけないじゃん、そんなこと!そりゃ、そう決意したこともあったけど、その時とは状況が変わっちゃったし…」
「え…、告白、しようとしたワケ…?」
赤葦さんに関してはまるで消極的な汐里が、まさか…。
自分の耳を疑った。