• テキストサイズ

フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



「見てませんー!この人見てたんですぅー!」

何となく、まだしつこく好きでいるのをバカにされる気がして。
咄嗟に妙な目立ち方してる人を指差した。

「誰?」

ローテーブルにお皿を置いたツッキーが、私の後ろから写真を覗く。

「この、鬼太郎みたいな人」

頭頂部だけ黒髪の生えた金髪。
前髪で半分顔は隠れてる。

「ああ、孤爪さんね」

「マネージャー?」

「いや、この人選手。セッターだから。音駒の血液…?違うな…何だっけ?何か臓器に例えられてた」

「臓器!!…って、凄いの?それ?」

「凄い人だったよ。頭脳派で冷静な戦略家。赤葦さんといい勝負」

「赤葦さんと…へぇ…」

赤葦さんと光太郎さんの母校である梟谷学園は、全国大会出場の常連校だったらしい。
更にはテツさんもツッキーも、春高っていう有名な全国大会に出場経験がある。
改めて、すごい人たちと友達になれたものだ。



「ねぇ、暇だし他のアルバムも見せてよ」

「えー…じゃあその辺り全部アルバムだから、適当に見ていいよ」

「これ?」

棚に並んだ数冊の黒いアルバム。
その中の一冊を手にしてみる。


「うん、そう。…あ、ちょ、それダメ!待っ…!」


私が開きかけたアルバムの中からパサリと何かが落ちる。


…手紙だ。
ピンク色の、可愛いデザインの封筒。
表には "蛍くんへ" の文字。

「ナニナニ、これ!」

「何でもいいから!」

私から手紙を奪おうと、ツッキーの手が伸びる。
次の瞬間。
手首を掴まれた勢いのまま、私たちは体勢を崩してその場に倒れ込んだ。



背中には毛足の長いラグの感触。
そして視界いっぱいになるほどに接近した、ツッキーの顔…。



「……」



やだ…
こうして見てみると、ツッキーってほんと綺麗な顔してる…


ただのツッキーなのに…


どうしよう…勝手に鼓動が速くなる…!


思わず固まる私を見て、ツッキーの大きな瞳が更に輪郭を丸くした。

「…何赤くなってんのさ?」

「…え?な、なってないもん!」

「なってるよ。もしかして…意識してんの?僕のこと」

私の手首を掴んだツッキーの手。
そこに、キュッと力が加わる。

普段なら悪態のひとつ、ふたつ返すところだけど。
今はツッキーの口から飛び出した予期せぬ台詞で、それどころじゃない。


/ 680ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp