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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



きっと気を遣ってくれてる。
話題振ってくれて、いい人だな…。

「はい…両親共働きだし、自分のお弁当作るついでだし。あ、でも私の作るものって、弟曰く "男の料理" らしいんですけど…。焼くとか炒めるとか、そういうのばっかで」

「どんな弁当にしろ、毎日作るって大変だと思うよ」

「いえ。あんまり大変だって思ったことないんです。年離れてるからか、弟のこと可愛くって」

「そうなんだ。いいお姉さんだね」

そう言って微笑んでくれる赤葦さんに、思いがけず胸が鳴った。

こんな褒められ方したこと、そういえばないかもしれない。
赤葦さんて、テツさんとは違うタイプのお兄さんって感じがする。





「おーい!二次会!カラオケ行こうぜ!!」

「わぁ!行く行く!」

テーブルの上のグラスが空になり、みんなデザートでお腹を満たした頃。
光太郎さんのひと声でカラオケに行くことが決まった。

駅前のカラオケ店に入って、また飲みながら歌って…。
今日のメンバーはお酒に強い人ばかりみたいだ。
ソフトドリンクを飲んでるのは、私だけ。


テンション高めに歌い終わった光太郎さんが、隣に座る。
さっき店員さんが持ってきてくれたグラスに口をつけた途端…

「うおっ!これうまい!汐里も飲んでみ!!」

そう言って、ピンク色のカクテルをグイッとこちらに差し出した。
味見くらいなら、とひと口。

「ほんとだ…飲みやすいし美味しい!」

「だろ!?汐里も頼むか?」

「そうですね。じゃあ、一杯だけ!」

きっと、アルコール弱めのカクテルなんだ。
……そう思って、全部飲んでしまったのがいけなかった。






「うぅ…クラクラする…」

トイレに行ってから、重い足取りでロビーのベンチに一人腰掛ける。
やっぱりあのカクテルは余計だった。

「時間巻き戻したい…」

後悔しても、飲んでしまったからにはもう遅い。
楽しい雰囲気を壊したら悪いし、少しここで休んでから部屋に戻ろう。

浮遊感に支配された頭でそんなことを考えている中、人の気配が近づいてくる。


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