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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】



元カレって、あいつしか知らねぇし。
梨央の過去の男なんて他に…



「あ…」



いたじゃねぇか…。



一番身近にいて



一番信頼していたであろう男。




梨央の……




父親。






「そうか…」


梨央にとっては、ほんの些細なことでも不安要素になってしまうのかもしれない。
それなら、尚更俺のしたことは……。

もう、俺との関係だけに留まらない。
俺は…梨央の過去の傷を抉るようなことをしちまったんだ…。


ほんと、大バカ野郎だ。
あいつが自分を守るために逃げ場を求めて、大将のところに行ったのだとしても…
俺に文句言える筋合いねぇよ…。



「俺たち、もうダメかも…」

「はぁ!?なーにしょぼくれてんだ、ヘタレ!諦めんなよ!」

「テツさんでもそんな風に落ち込むんですね。案外普通の人間だったんだ」

お前ら…
もう少し優しくしてくんねぇかな…?

「あ、俺ドリンクお代わり!」

「私も」

木兎と汐里は揃ってドリンクバーのお代わりを取りに席を立つ。

大きくため息をつく俺に、目の前の赤葦がポツリと呟いた。


「俺は気持ち、ちょっとわかりますけどね」


「え?」


「嫉妬で余裕なくなる気持ち、です」


「…何?お前ほんとに赤葦?」


「俺も案外、普通の人間なんで」


「……」


「このまま優さんに、梨央さんを譲るんですか?」


相変わらずのポーカーフェイスで赤葦は核心を突いてくる。


譲るとか譲らないとか。
もうわかんねぇよ…。
梨央の気持ちは、とっくに俺から離れてるかもしんねぇし…。


俺の返事がないことがわかると、赤葦は木兎たちに続くように席を立った。




他人に言わないだけで、人の数だけ恋愛は転がってる。
傷つけて、傷ついて…
誰でもそんな経験をしているのかもしれない。


じゃあ、梨央を傷つけた俺は、この先どうしたらいい?
大将といる方が梨央の気持ちが安らげるっていうなら、もうそれを止める権利なんて俺にはないんじゃねぇのか?


全ては俺が招いたこと。


もうそろそろ、納得しなきゃいけない時なのかもしれない。


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