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【HQ】繋がる縁の円

第9章 名前を呼んで


‐木葉side‐

なんで、アイツあんな機嫌悪ィのか、マジで分かんね。
あんま喋らないから、表情とかで気付くようにはしてやってたが、今回ばっかはお手上げ。

木兎と議論してても、答えは本人しか知らねー訳で。
こんなもん、無意味だろ。

「…ねぇ。」
「…ん?」
「木葉、りらちゃんの事、最近なんて呼んでる?」

面倒臭ェから、そろそろ切り上げるか、とか思ってたらかおるさんから、突然の質問。

ソコ、触れてくるか。
言いたくねーんだけど、マジで。

いつか、俺と同じ名字を名乗って欲しい。
だから、下の名前で呼び合えるようになりたい。

だが、アイツにじっと顔を見られっと、今更それを呼ぶのがハズくなって。
名字ですら、呼べなくなった。

「いや、さっきから、りらちゃんの事、アイツとしか言わないなーって。名前って大事よ。個人を認めている証だもん。
私、光太郎にお前とか、言われたら悲しくなるかも。私じゃなくてもいい呼び方されたら、不安になる。」

女目線からの、言葉は深いな。
多分、ソレだわ。
アイツの…りらの、機嫌が悪ィの。

名前呼んで貰えねぇくらいで、機嫌悪くなるとか、マジ可愛い。

「会いてぇな…。顔見て、りらって呼んで、ハグしたい。」

つい、口から本音が漏れる。
明日まで待ちたくねぇわ。

「じゃ、行けよ。」
「ちょっと、光太郎?何言ってんのよ。明日まで待った方が…。」
「木葉が会いたい時に会いに行って何が悪ぃんだよ?りらちゃんだって、木葉とラブラブしたいに決まってんじゃん。
…ほれ、コレ貸してやるから。」

背中を押したのは、木兎の声。
差し出された鍵は、アイツが住む家のものだろう。

「サンキュ。じゃ、行って来るわ。」

立ち上がりながら鍵を受け取り、軽く手を振って2人とは別れた。
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