第9章 言葉より大切なもの
〈翔サイド〉
智くんと抱き合って撮った写真…それと同じポーズをとってくれと言われた。
何の抵抗もなく返事をした。
でも…
「はい、それでは撮りますね
おふたりお願いします」
カメラマンさんの声が聞こえ智くんに抱きつこうとしたんだけど…
どうしよう…智くんの気持ちを知ってしまったせいか恥ずかしい。
それでもやらない訳にはいかないから、そっと智くんに抱きついた…
そんな俺の様子を見て智くんが小声で
「ごめんね翔くん…やっぱヤダよねこんな密着するの」
俺は首を横に小さく振った。
嫌じゃない…嫌じゃないんだけど、ドキドキする。
智くんに聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい心臓が大きく鼓動を鳴らし始めた。
「すみません、櫻井さんもう少し強めに抱きついて貰えますか」
なんて注文を出すんだカメラマンさん、俺を殺す気か?
仕方なく智くんを思いっきりぎゅっと抱きしめた…一瞬ぴくっと動いた智くん。
「あ、ごめん。力強すぎたよね…」
「ううん、大丈夫だよ」
微笑んでそう答える智くんの頬はうっすらピンクに染まってて、そんな智くんを見て俺も顔が熱くなった。
「もうちょい顔も近づけてください」
カメラマンさん、もう無理です…