第2章 仕事の後のXmas night。
『たのしかったー!』
水族館の中ではクラゲやチンアナゴなど小さくてかわいい生き物から、マンタやエイなどの大きい生き物、さらに カピバラやオットセイ、ペンギンやアザラシなど触れ合える動物もいて、2人で撫でたりして触りあった。
話題のイルカショーもすごく幻想的で見てよかったなぁって思えた。
でも、こんな気持ちになれるのはリエーフくんが隣にいるから。
「ねえ、梢。少し寄り道してもいい?」
そう言われ、連れてこられたのは公園。
少し歩いた場所にあったベンチに座れば、リエーフくんはカバンからごそごそと何かを探し出す。
「あった!」
カバンから出てきたのは10センチ四方のラッピングされた箱。
ぽんと手のひらに乗せられたそれを開けてみればシルバーの細身の時計。
12時のところにきらりとグリーンの石が光るその時計はまるでリエーフくんのようで、思わず箱ごと抱きしめる。
『嬉しい…ありがとう。』
お礼の言葉を言えば、リエーフくんはくすり、笑う。
「知ってる?時計ってさ、”同じ刻を歩もう”って意味があるんだって?」
同じ刻を歩もう…
それってプロポーズ…じゃない?
そう考え、顔を赤らめる。
顔の赤みに気がついたのか、リエーフくんはくすり笑う。
「今はまだ、働き始めたばっかりだからすぐってわけじゃないけど…
何年か後には梢を世界一幸せにしたい。」
リエーフくんはす…と、私の左手をとると薬指に口付ける。
「それまで、ここ、空けておいて?」
暗い中でもわかる。
リエーフくんの顔が真っ赤なのが。
リエーフくんの瞳が真剣なのが。
うれしい。
嬉しい。
嬉しさを表すように、私はリエーフくんにぎゅっと抱きついた。
『私…早く、リエーフくんのものになりたい……』
「梢…?」
『だから…
早く帰ろ?』
はしたないけれど、私からのお誘い。
気づいたのかはわからない。
でも、リエーフくんは私の唇に優しくキスしてくれたんだ。
end
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