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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第24章 二つ島~治療~ ★


『俺のものに、なっちゃくれねぇかい?』
沙羅の頭の中を甘く響いたマルコの声。
「・・・」
言葉の意味はわかる。
わかるけれども・・・。
正に思考停止。
目を開けたまま、息をするのも忘れた。
『俺のものに、なっちゃくれねぇかい?』
それはつまり・・・
つまり・・・。
・・・。

“トクン・・・”

心が跳ねた。
頭よりも早く、
心が感じた。
沙羅の顔に薄らと朱が浮かぶ。
その変化していく様を、僅かも見逃すまいとマルコはじっと見つめていた。
恐らく、未だ言葉をしっかり理解できていないのだろう。
それでいて少しずつ言葉が浸透していて、どうやら悪い返事はなさそうだと窺えた。
瑠璃色の瞳が忙しなく瞬き、じわりじわりと朱から赤に近づく。
困ったようにを自分を見つめる瑠璃色の瞳を、マルコは、にやりと海賊らしい笑みで見返した。

“!!”

『俺のものに、なっちゃくれねぇかい?』
瞬間、頭にはっきりと刻まれた言葉。
ボワッと一気に真っ赤に染まる顔。
次いで沙羅の瞳に映るマルコ。
それがふっ・・・と見えなくなる。
「・・・」
「・・・」
かすめるような微かな口づけ。
お互いに言葉はない。
沙羅は、真っ赤になったまま気絶したかのように動けない。
マルコも、沙羅の反応を伺うように暫くじっと見つめていたのだが、ついに“クククっ”笑い始めた。
「やっとわかったみたいだねい」
マルコの声に、右往左往するように表情を揺らす沙羅。
「その様子じゃ、いい方に取らせて貰おうかねい」
細めた瞳の奥に、獲物を捕らえた肉食獣のような妖しい光を潜めながらマルコは言った。
が、それに気がつく余裕は沙羅にはない。
嬉しさに感情が震えるような思いのままに、言葉を返した。
「よ、よろしくお願いしま・・・す?」
咄嗟に出た言葉が敬語なのは、無自覚なりに肉食獣に捕らえられた危機を感じているからか。
そんな沙羅に『何で敬語だよい?』と詰め寄れば、またまた困ったように視線を揺らして薄らと赤面し呟くように言った。
「嬉しすぎて・・・わからない」
「っ!~・・・」
沙羅の返答に僅かの間、目を見開き、次いで柔和な笑みを浮かべた。
「それはこっちのセリフだよい、・・・沙羅」
注がれる視線に、獣はなりを潜めた。
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