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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第24章 二つ島~治療~ ★


沙羅を歓迎するように、波が踊る。
そうして、マルコの前から沙羅が姿を消しても
海は歌い、踊り続けた。



 三十分程立っただろうか。
ふと、感じた人の気配にマルコは視線を向けた。
「!・・・お帰り」
一瞬の驚き。
だが、すぐに穏やかな笑みを浮かべ、砂浜から波打ち際までゆっくりと歩いて行く。
沙羅も、また、マルコとの距離を縮めるように海中から波打ち際に向かってくる。
痛々しい傷口は癒え、海から十二分にパワーを得たのだろう。
風に舞う髪が時々銀の輝きを放つ。
瑠璃色の瞳はいつもよりも潤み、濡れてはいないのに全身から水水しい気配を放つ。
海を走る風が時折、沙羅の白いパレオを揺らす。
マルコは目を細めた。
少しばかり露出は激しいが、まるで白いワンピースのようだ。
それは数日前の夢の記憶であり、
今も鮮烈に残る出会った時の記憶。
忘れることのない思い出。
あの光景、
あの言葉。


マルコの手を取り、海で遊ぼうと誘った沙羅。
『嫌じゃねーのかよい・・・俺は・・・海賊だい』
初めての反応に戸惑い、心の奥底で怯えるように言った日。
『私、マルコが好き!それじゃいけないの?』
あの時に、マルコの心は完全に奪われていたのだ。

「ただいま」
昔を思い出していたマルコの耳に届く沙羅の声。
その足元を時折波がさらう。
「お帰り」
もう一度迎えたマルコの足元は、決して波に触れない。

悪魔の実の能力者の宿命、
“海に嫌われる”

触れる事は出来るのに、立つ位置は決して超えられない。
悪魔の実を食べたことに後悔はないけれど、マルコは言いしれぬ寂しさのような愁いを感じてしまった。
「沙羅?」
そんなマルコの心を察したかのように、沙羅がマルコの手を取った。
「大丈夫!」
戸惑うマルコの手を引く沙羅は少し子供のように勝ち気に笑う。
これは夢の続きなのだろうか。
思わず辺りを見回すマルコ。
悪魔の実の能力者が海に触れればどうなるか、誰もが知っている。
「信じて、マルコ」
柔らかな笑みを浮かべる沙羅。
少女だった頃の沙羅と現実の沙羅が重なった。
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