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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第6章 幸せな我儘 〜一夜限りの恋人よ〜 / 豊臣秀吉




「私、信長様と賭けをしたの」


その賭けの内容とは。

今一度、信長様に抱かれて、一回でも喘いだら舞の負け。
一生を信長様の為に尽くすこと。

その代わり、耐えたら舞の勝ち。
いくらでも愛する者の所へ行っていいと……

なんとも舞に分が悪い賭けだった。



「私、信長様に抱かれた時、声を上げたことなんて一回も無かった。 なのに……あの日は違って」

舞の瞳が見る見る陰り……
目のふちに涙が溜まっていくのが解った。


「いつもの強引な信長様じゃなくて、すごく優しくて……私、我慢出来ずに思わず声を上げてしまった。 秀吉さん、聞いてたでしょ?」


そう言われ、秀吉は身体の内の熱が再加熱したのが解った。

舞の、あの甘い声を聞いた日……あの瞬間。
あれが舞の言う『賭け』の勝敗が決まった瞬間だったのだ。


「つまり……信長様が勝ったんだな?」


その日から舞は、飲まず食わずで泣き続けたそうだ。
そんな舞を見兼ねて……信長様は今日の朝、舞に命令を下したと言う。










愛する男と、夜伽を、と。











(まさか……)










「じゃあ、お前の想い人って……っ」




瞬間、舞の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
それを拭おうと、反射的に手が伸びる。
頬に触れた瞬間、舞が小さくぴくりと跳ねたのが解った。



「ごめん秀吉さん。 こんなの迷惑だよね」
「舞……」
「私が勝手に秀吉さんを好きで、信長様みたいな立派な方に愛されたのに……受け入れられないなんて。 本当にごめんなさい。 私の我が儘で、周りみんな傷つけちゃった」










(………………っ)




もう見ていられなかった。
気がついたら、涙を拭おうと伸ばしたその手で、舞を胸に抱き寄せていた。

薄い夜着越しに、舞の体温と感触が伝わる。
高鳴る心臓は、どちらのものか解らない。


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