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幸せになりたい!『刀剣乱舞』

第9章 第九章


いや…畑仕事ですよ?と言おうかななんて思ったけれど私を心配する大典太さんの言葉を思い、やっぱりこの一振りはいい人だなー…なんて思った。

まだ少し肌寒く思いながら、横抱きされたまま縁側に着いて私は痛む腰を擦りながら下ろして貰うと腰掛けた。お隣どうぞと廊下をぽんぽん軽く叩けば静かに私を見た大典太さんは無言で隣に座った。

「大典太さん、今日は貴方に隊長をお任せしても構いませんか?」
「!?あんた…俺にほかの奴を率いらせるなんて、物好きだな」
「あらそうです?大典太さんが強いのは見て分かるじゃないですか…先ず天下五剣ですし?」
「俺は封印されて、蔵にいるべき剣だぞ。どうせ俺の使い道は、誰かが病に倒れた時だけ……そうじゃないのか」

私は彼の言葉に耳を傾けていた、彼の言葉の意味は分かる…天下五剣のひとつで他の刀剣とは異質な彼、刀だった頃の大典太光世さんは、枕元に置けば病も治るとされた霊刀。小鳥などの動物が恐れて近寄れないほどの強い霊力を持っていて、普段は厳重に蔵に仕舞われていた正真正銘の蔵入り息子だと言う事だ。

「怪異も病も俺を恐れるが、誰も俺と触れ合えない。どうせ俺はそんな刀だよ」
「それなら私で慣れませんか?」
「…あんた、なにを」
「腰が痛い私を抱き上げてくれた優しい貴方なら、皆さんきっと分かって下さいますよ?それでも動物に恐れられてしまうというなら、私で先ず練習しましょう?」

大典さんの手のひらに触れて軽く握手をする。ほら…暖かくて優しい手。全然怖くない。そう内心で思いながら目を細める私に大典太さんはとても戸惑っていた。

「私、大典太さんの事…怖い一振りなのかと思っていました。でも話して見るとそんな事はなくて…貴方の不器用な優しさとか色々含めてとても素敵だと思います」
「…」
「話して見ないと分からない事とかありますよね?それと同じですよ…やって見ないと分からない、もしかすると雀も大典太さんの事を気になって飛んで来るかも知れませんよ?」

ですから私を雀だと思って…というのは言い過ぎだけれど慣れる理由の力にはなれると思うんだ、そう思う私の想いが分かったのか大典太さんは握手する手のひらが握り返されたのが分かった。それにしてもやはり男性の手のひらがゴツゴツしているし…指は長いし。綺麗でセクシーだと思えてしまった私は悪くないと思う、大典太さんを見て宜しくと笑った。
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