第9章 第九章
良し、分かった。明日になったら…集団会議を行おうと思う。一振り一振りに同じ台詞を吐く私の身にもなれよ…面倒くさい。と言うか初日の時に一期さんへ刀解はしないと発言したというのに、なぜ同じ事を何度も聞いて来るのか…忘れたのか?一体なんなんだ。
色々とあって疲れた私はもう寝たいと言い膝丸さんの頭を撫でた、するとみるみるうちに真っ赤に染まった膝丸さんは恥ずかしそうに私の手を振り払い襖を開けて出て行った。やっぱり可愛いわ…膝丸さん。そう私の中で膝丸さんは可愛い一振りだと頷いた。
「はぁ…眠い、寝よ」
仕事疲れと色々あり、直ぐに私は夢の中へと落ちたーー…卯月はとても良く出来た審神者だった。しかし審神者としての使命を果たす為ならどんな犠牲もいとわないという性格でもあった。
『やはり君には素質があるな…』
『卯月には負けるよ…』
『いや、君のその強さを私にくれないかい?』
『えっと…それはどう言う意味?』
『私の手で君の霊力を開花させて見たい』
『それは…私に拒否権はないのかな?』
『あぁ拒否権はあるけれど…しかし実に勿体無い、その霊力ならば刀剣男士の力を存分に引き出す事だって可能だからね』
夢の中で私に語り掛ける卯月の言葉に、今更ながら違和感を覚えた。彼が見ていたのは『私』ではなく私の『力』だったのではないかと。力すなわち審神者としての『霊力』を指す。それがあれば、別に誰でも良かったのではないかと思えて来て…本当に私を愛していたのかが分からなくなって来た。もしかすると私だけの独りよがりな片想いだった?気持ちは沈むばかりで…私はゆっくりと目を開けた。
「…なに泣いてるんだろう、しっかりしなきゃ」
私は審神者…上に立つ者が泣いていたら示しが付かない。頑張れ…私!そう奮い立たせて起き上がろうとしたら全く身体が動かなかった。えっ…嘘でしょ?
「いっ!待って…腰が…畑仕事を頑張り過ぎたから、だろうか…これはかなりきついぞ」
もしかして、私はこのまま起き上がれないのか?と表情を青くさせて誰かいないか声を出して見た。しかし今の時刻を見ても早い…まだ寝ている時間だろう。私ももう一回寝る?いやいや…それじゃあなんの解決にはならないし…さて私よ、どうするか。
「誰か…誰かいませんか?」
と言っても誰も来ないか…そう思っていた矢先にゆっくりと襖が開き、そこには大典太光世さんがいた
