第3章 第三章
「主、君…傷口が開いたのか?血の匂いがするな…」
「あぁ…思い切り握り締めたらこうなりました」
「あっはははは!元気なのはいい事だが、無理は良くないぜ?」
包帯を巻いた手の平を見る鶴丸さんは一度解くと軽く消毒してくれて新しい包帯を巻いてくれる。その手先の器用さについつい驚いてしまった。近くの薄暗い部屋に白は良く目立つ、動く事にさらりと白髪が揺れて綺麗だと見惚れてしまう。
「鶴丸さんって綺麗ですね…」
「なんだいきなり?」
「いえ、ただ本当に綺麗だなーと思いまして…」
「まぁ俺は人気があるからなぁ…」
「そうでしょうね。うーん…これは傍にいたら好きになっちゃいますよ」
「驚いた…君は俺に惚れたいのかい?」
金色の瞳がぱちぱちと瞬きさせている。私は小さく笑えば不思議そうに彼は首を傾げて「なんだ?」と聞いて来た。私は左右に首を振る。
「鶴丸さん…もっとモブ顔の刀剣男士っていないんですかね。なにもパッとしない地味顔が一番安心出来たりするんですよ」
「また君は唐突な事をいうんだな、俺じゃ不満か?」
「まさか、イケメン万歳…鶴丸さんは寧ろSクラスですよ。顔も良くて性格も良くてだなんて惚れない方がどうかしています、だから困るんですよね…上からは恋愛禁止とかいうし?はぁ…やはりカッコイイのは罪です」
審神者という職業…刀剣男士達に惚れない代わりに莫大なお金が入る。結局はこれも全て仕事なのだと考えて大きくため息をついた。キュッと包帯を結ばれた手の平を見下ろす、キツくはないかと聞かれて大丈夫だと言い頷いた。そのまま鶴丸さんは私の隣に膝をついて腰掛けると小さく笑っている。
「君はそちらが素なのか?」
「素と言いますと?」
「俺と初めて会った時に比べて雰囲気が違う…まぁ俺は今の君の方が嫌いじゃないぜ?」
「あぁ、いやー…聞きたくないー…本当に止めて下さいよ。惚れさせないで下さい…鶴丸さんの顔でそんな台詞を吐かれたら、確実にときめきますからね?」
両耳を押さえながら苦い表情を浮かべる私に吹き出すように笑った鶴丸さんがいた。少したわいもない話しをして私はゆっくりと立ち上がる、鶴丸さんも私と同じように立ち並ぶと襖を開けて先に出て行った。
「寝室で如何わしい事をしていなくても一緒にいた所を見られたらまたビッチだと思われるのでは?」
はっ!と気付いた私は項垂れお風呂まで歩いて行った
