第8章 末っ子の秘密
イゾウがアリスを連れていてから甲板は一気に騒がしくなっていった。
隊長組は実力のある海兵と戦っていた。
エースもその中の一人だった。
「くらえ!火拳のエース!」
後ろを取られてしまい、攻撃を構えたエースに一発の銃声が響いた。
見るとそこにはアリスを送ったイゾウがいた。
「大丈夫か?」
「イゾウ…助かった!」
二人は背中を合わせて応戦していく。
「アリスはどうだった」
「まぁ、多少の抵抗はされたが強引に閉じ込めてきた。あいつにこの戦場は見せたくないしな」
イゾウはまるでエースの本音が分かっているようだった。
確かにアリスを海軍に連れて行かれないために船内に連れて行ってもらったのもあるが、この戦場を見せたくないのもまた理由の一つだった。
普段の戦闘と違って相手は大将を引き連れている海軍。
いつも以上に本気にならなければいけない相手の分、それなりに負傷者も出る。
それをアリスには見せたくなかったのだ。
戦況は白ひげ海賊団が一歩有利に立っているように見えた。
その状況を遠目で見ていたのはセンゴク。
まるで苦虫でも噛み潰したかのような表情をしていた。
「仕方ない、アレの準備をしろ」
「はっ!」
センゴクは一人の海兵に命令を出すと、出された海兵は慌ただしく行動を始めた。
それに気づいたのは白ひげただ一人。
何かを探るようにセンゴクを見るが、センゴクは無表情を貫いた。
しばらくすると、だんだんと海兵が後退していった。
その異変にクルーたちも気づき始める。
「なんだ?」
「聞け、白ひげ海賊団。我々には時間がない。いっぺんに肩をつけさせてもらうぞ!」
センゴクがそういうと、後ろから10人ほどの海兵が姿を現した。
その手には小さい大砲のようなものが握られていた。
勿論、標準は白ひげ海賊団に向かっていた。
「撃てぇ!」
その一言と同時に、何かが発射された。
しかし一体何が発射されたのか、白ひげ海賊団には分からなかった。