第8章 末っ子の秘密
「確かに、世界貴族や世界政府にいいなりの海軍だ。そんな嘘をついても無意味だよい」
マルコさんの言葉に私もどことなく納得してしまう。
じゃあ、私は本当に…?
気が付けば、独りだった私にとっては自分の出生なんて知る由もない。
「これでわかっただろう。アリス宮は貴様たちのような野蛮な連中とは違うのだ。アリス宮の父君であらせられるオズワルト聖は速やかに聖地マリージョアへの帰還をお求めになられている」
何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。
ただ、分かったことは海軍さんの狙いは私で。
今まであったことも存在も知らなかった父が私のことを呼んでいるということだけでした。
そのことを理解した瞬間、絶対に嫌だという気持ちが私の心の中に溢れました。
でも、今思えば私は現在子猫の姿。
人の顔は世界中に知られてしまったけれど子猫の姿は白ひげ海賊団の皆さんしか知らないはず。
すると、センゴクさんの目が私の方に向き思わず体をびくっとさせてしまいました。
「さて、火拳のエース。その腕の中にいる猫こそ、我々が保護する対象であるアリス宮と言うことはすでに知っている。大人しく渡してもらおうか」
これにはさすがのお父さんでもビックリしたみたいです。
「おい、センゴク。てめぇなんでそのことを知ってやがる」
私の猫の姿を知っているなんて本当にこの白ひげ海賊団の人のみ。
それなのに海軍にそのことが知られているなんて…
隊長さんたちもいよいよ本格的に戦闘モードに入っています。
このままじゃ本当に海の上で激しい戦いが起こってしまいます。
「ま、待ってください!」
私はエースの腕から抜け出し、人間の姿に戻ると自らセンゴクさんたちの方へ出ていく。
それを見てマルコさんは焦って私のかとを強く掴んできました。
「バカか!何やってるんだよい!!」
いつもエースに対して怒っているときの顔より何倍も怖い顔で私を見てくるマルコさん。
それだけ私の心配をしてくれているのが分かります。