第6章 赤い人
さて、どうしようと思っているとエースの腕の力が少し強くなったと思うと。
「そいつはアリスだ。俺の娘だ」
とお父さんが私を紹介してくれました。
「言っておくが、手なんか出すんじゃねぇぞ」
ついでに威嚇もしてくれたみたいです。
「ははっ、気を付けるよ」
赤髪さんは軽くあしらっただけ。
エースに抱えられている私の頭をやさしく撫でてくれたから、悪いようにはされないと思います…。
それにしても綺麗な赤ですよね。
私もこんなきれいな色の髪色が良かったです。
その後、無事に?赤髪さんは解放され一人甲板に居ます。
どうやって赤髪さんがこの船にやってきたのかは企業秘密だそうで、教えてもらえませんでした。
とりあえず、マルコさんたちは早く赤髪さんには帰ってほしいそうなので赤髪さんの船と連絡を今とっています。
「ああ、それじゃあ頼んだよい」
ガチャという音を立てて軽くため息を吐いたマルコさん。
何かあったのでしょうか?
「どうだったんだ?」
エースも気になったみたいで、マルコさんに問う。
「今赤髪の船がこっちに向かっている。早くても夜に着くってよ」
今がちょうどお昼ぐらいなので、あと数時間は赤髪さんはここに居るんですね。
…どうしましょう。
さっきはびっくりして全然話せませんでしたし、今から話しかけてみましょうか。
スルッとエースの腕から逃げ出して人間の姿に戻ると、私はそっと赤髪さんの近くに移動しました。
近くまで行くと、反対方向を見ていた赤髪さんはクルッとこちらを向きました。
「おう、アリス!」
ニカッと効果音が付きそうな明るい笑顔。
よく見たらお顔も結構整っていらっしゃいます。
「あ、あの…、赤髪さん…」
自分から他人に話しかけるなんて全然ないので、緊張してしまいます…。
チラッと赤髪さんを見るとやはりじーっとこちらを見ています。
ううっ、何かあるんでしょうか…?