第1章 12ヶ月の物語
約束の時間……
十分前に待ち合わせ場所に現れたあんは
ベンチに座って俺が来るんを待ってる…
ばれへんように
少し遠くからあんを見つめる俺に
あんは全く気がついてない(笑)
やからきっと
俺が少し前に送ったメールにも
まだ気付いてないってことなんやろな…
待ち合わせ時間から30分が過ぎて
やっと鞄からスマホを取り出したあんは
俺からのメールに気付いたんか…
最初は笑顔でスマホを見てたのに
途中からその顔から笑顔が消えて
最後にはスマホを見つめたまま
ポタポタと涙をこぼし始める……
幸せになって欲しいだけで
泣かしたかったわけちゃう………
"側にかけよって涙を拭って
抱きしめてやりたい………"
そんな気持ちを必死に我慢して
拳を握りしめてたら
あんの側に近付く
丸の姿が見えた…………