学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
「あの、大丈夫ですか?」
聞き慣れた、愛おしい声にハッと現実へ引き戻される
顔を上げると、心配そうに眉を下げて此方を見下ろすセナが立っていた
「…」
「話は、みんなから聞いたんですけど」
「?何をだ」
「ローさんと、私、そのッ」
言い終わる前にぶわわっと耳まで真っ赤になると、オロオロとし始め俯いた
出会った頃より随分と伸びた栗色の髪が、その表情を隠してしまう
条件反射的に伸ばした指先で、そっと前髪に触れるとピクリと反応が返って隙間から潤んだ黒い瞳が此方を伺う
「セナ」
「…?」
伺う瞳を真っ直ぐと見つめると、視線に狼狽えながらも顔が上げられた
身長的に見上げる形となるため、必然的に上目遣いになる
いつもならこうなると迷わず抱き締めているのだが、今はその衝動をグッと堪えた
「お前は俺の「おーいセナ!一口でも食えって!じゃねェとサンジが食わせてくれねーんだ!」
「えっ、ごめんなさい!」
空腹に痺れを切らしたルフィが、ローにのし掛かりながら必死の形相で訴える
その様子に慌ててセナは席に着くと、料理を一口口に含む
「!美味しい…」
「お褒めに預かり光栄です、プリンセス」
「ホント、すっごく美味しいです!やっぱりサンジさんの料理は素敵です。あ、これどうやって作るんですか?!」
「ああそれは塩漬けの白身魚を…」
すっかりいつものように料理に魅せられたセナが、次々と質問をサンジに投げかける
もぐもぐとおにぎりを咀嚼しているルフィを頭に乗せたまま、ローはその様子を見つめていた
「トラ男、あれ食いてェのか?」
「取り敢えず退け、麦わら屋」
「よし、俺が貰ってきてやる!」
グンと腕をサンジとセナの間にある重箱に伸ばす
先ほどセナがつまんだ料理を一切れ掴んだ
「おいルフィ!意地汚ェことしてんじゃ…」
「ちげーよ!俺じゃなくてトラ男が食いてェって」
「ローてめェまで!」
「俺は何も言ってねェ」
ギャーギャーと3人で揉み合っている姿を、その他のメンバーは慣れたものでもはやツッコミも止めもしなかった
しかしルフィの腕が伸びたことにセナは目を丸くして驚いたまま固まっている
「腕が…伸びた?」
「ルフィは全身ゴム人間だからな」
「ゾロは全身マリモ人間?」
「誰がマリモだ!ぶった斬るぞテメ…」