第26章 交差する想い
ー 足・・・なんだけどね? ー
桜「はい・・・」
ー もう退院してもいいよ? ー
桜「・・・・・・・・・はい・・・えっ?!」
ポカンとする桜太にぃを見て我慢出来ずに私は笑い出してしまった。
ー あ、コラコラ!笑っちゃダメだって言っただろ? ー
『だ、だって桜太にぃが・・・アハハハハ・・・』
ひとり状況が飲み込めない桜太にぃが、顎に手を当てて考え込んでいる。
桜「立花先生・・・?つまりのところ、俺はもしかして・・・また、ですか?」
ー あ、バレた?緊急って言うのはウソウソ!妹さんが退屈そうだったからさ? ー
えっ?!私のせい?!
桜「紡・・・後で俺とよーく、話し合おうか?」
『あ・・・あは、は・・・』
ヤバイ・・・ヤバすぎる・・・
これは結構・・・怒ってる時の桜太にぃだ・・・
ー こら、城戸先生。騙したオレも悪いけど、何度も簡単に騙される城戸先生もダメなんだよ?妹さんに非はないんだからね? ー
桜「立花先生も立花先生ですよ・・・今日1日で、どれだけ俺を驚かせるんですか!」
ー えーっと・・・今のを入れたら、4回くらい? ー
指折り数え、ニヤリと笑いながらその折り曲げた指を桜太にぃに向けていた。
桜「回数を伺ってるんじゃありません!・・・全くもう・・・」
桜太にぃ・・・なんか不憫な・・・
桜「それで、本来の用件はなんですか?」
はぁ・・・と大きくため息をつきながら、桜太にぃは立花先生に尋ねた。
ー 妹さんの足、まだ腫れてるっちゃ腫れてるけど。もう帰宅で良いんじゃない?って。学生だから体育とか部活とかはもう少し見学してもらうけど、それさえ我慢してくれたら・・・退院オッケーよ? ー
桜「我慢・・・ねぇ・・・」
疑いの目で桜太にぃが私をチラリと見た。
『が、頑張ります・・・』
ー ね?本人もそう言ってるし ー
桜「はぁ・・・」
ー じゃ、退院の手続きしちゃっていいよ?明日でも明後日でも。あ、明日の方がいっか?1日自宅でゆっくりして、学校は月曜日からっ事で、どう? ー
・・・か、軽い!
桜「紡、どうする?月曜日なら俺は休みだから迎えとかいろいろ出来るけど、明日がいいなら慧太に頼むけど」
月曜日なら・・・桜太にぃ。
明日なら・・・慧太にぃ。
月曜日なら・・・
『あ、明日に・・・しよう、かなぁ?』