第26章 交差する想い
先輩だと言っても、今は他校の・・・だし。
電話、かけるしかないか?
いや待て?
もし俺が電話した時、周りに誰かいたらどうすんだ?
例えば・・・及川さん、とか。
昨日の感じだと、岩泉さんはひとりでいる時に俺に電話して来た感じだ。
だとしたら、電話はマズイだろ。
じゃやっぱり・・・
閉じたばかりのスマホを開き、岩泉さんにラインを送った。
余計な事は書かず、ただ、簡単に。
これで俺が頼まれた事は果たした。
大きく息を吐き、そのまま机に突っ伏した。
・・・寝よう。
頭使い過ぎて疲れた。
握ったままのスマホが震えだし、イラッとする。
誰だよ、これから寝ようとしてんのに!
着信相手を確認すると、画面には昨日と同じ名前が浮かび上がっていた・・・
「・・・はい」
岩 “ 悪りぃ、いま大丈夫か? ”
「はい、まぁ、昼休みなんで」
俺がそう返すと、俺も昼休みだから同じだよなと返ってきた。
「それで、用件はなんですか?昨日の事なら、さっき送った通りです」
俺は教室で話せる内容じゃない気がして、階段の踊り場まで移動しながら会話を続けた。
岩 “ メッセージは見た。でも、入院って、いったいどういう事なんだと思って ”
それは俺も知りたい事だけど・・・
岩 “ そんなに・・・悪いのか?もしかして骨に異常が? ”
「いえ、そこまで詳しくは・・・俺も澤村さんから連絡貰ったんで何とも言えません」
岩 “また、主将・・・か・・・ ”
「澤村さんがなにか?」
岩 “ あ、いや別に・・・影山に連絡ないのに、主将には来たのか・・・とか ”
「いえ、澤村さんは顧問の先生から聞いたって言ってました」
それは確かな事だ。
岩 “ そっか・・・なぁ影山、アイツ・・・寂しがったりとか、してると思うか? ”
・・・何が、言いたいんだろう。
「俺は・・・城戸じゃないから、分からないッス・・・」
そう返すしか、俺には出来なかった。
岩 “ だよな、変なこと聞いて悪リィな。アイツからしたら、余計な心配だよな?・・・アイツは・・・強くなったから ”
・・・何だろう、この感じ。
昨日も岩泉さんと話していていて、同じ感じがした。
岩泉さんは昨日も、そして、今も。
城戸の事を強いって、強くなったって、そう言っている。
でも・・・本当の城戸は・・・