第39章 聳え立つ壁
繋「何してたんだお前ら、遅せぇぞ」
みんなが待つ観覧席に行けば、私達4人を順に見て繋心が片眉を上げた。
『ちょっとした都合で、えっと・・・?』
この場合、私の不注意で伊達工のチャラい人に絡まれてた所を助けてられてましたって言うのは変だし、かと言って嘘はつけないし・・・なんて報告すればいいんだろ??
澤「遅れてすみません。ちょっと伊達工の代表者と連絡先を交換してました」
『うへっ?!』
繋「うへ?!ってなんだチビ助。っていうか澤村。伊達工と連絡先の交換?こんな時にか?」
どこをどう話そうか迷っていると、隣りにいた澤村先輩がさっきの伊達工とのやり取りを繋心に話す。
とはいえ、どうして連絡先を交換する事になったのか分からない繋心は、こんな大会の最中にか?と加えて澤村先輩をジトッと見る。
澤「まぁ、その辺はあまり深く追求しないで下さい。練習試合をいつもより楽に申し込める手立てが増えたと思えばって感じです」
繋「なんじゃそりゃ?まぁいい、お前ら早くその辺に座って試合見とけ。この試合の勝者が明日の烏野の対戦相手になる、が・・・ほぼ青城だと思って少しでもなにかを掴めよ」
ほぼ青城だと思って、という繋心の話はその通りで、1セット目が始まったばかりだと思っていたその試合は早くも点差が出来ていた。
『清水先輩すみません、遅れました』
私の代わりにという訳ではないけれど、記録を取っている清水先輩の隣りに座り、同じように記録ノートを広げてペンを握る。
清「大丈夫だった?澤村じゃなくて東峰が誰より先に駆けてったから」
『あ、はい。それは大丈夫でした。東峰先輩が庇ってくれて助かりました』
清「東峰が?・・・そう」
東峰先輩に庇って貰ったと話せば、それを聞いて一瞬目を丸くした清水先輩が東峰先輩を振り返り、珍しい事もあるのねと私に笑いかける。
清「普段の東峰は、ヘナチョコな所しか見てないから」
「そうですかる確かにもっと堂々とすればいいのにって思う所もありますけど、東峰先輩もちゃんとカッコイイ所あると思いますよ?」
少なくとも私は、そういった面を意外と多く体験しているからと言えば、清水先輩は更にふふっと笑った。
清「ここまでの記録は取ってるけど、この先の研究記録は任せていい?もちろん私も記録は取るけど、スコア付けもあるし」