第39章 聳え立つ壁
慣れ親しんだボールの感覚が指先に触れて、確実に東峰さんへと届くように高めのトスを上げる。
この場にいる誰もがそのボールの行く末を見守る中で、東峰さんが高く高く飛びスパイクモーションへと入る。
もしこれがダメだとしても、俺は何度だって同じトスを上げる。
それが出来るのは、いまここに、コートにいる俺しかいない!
菅「行けっ!旭!!」
澤「ぶち抜け旭っ!!」
東峰さんが渾身のスパイクを打ち、ボールは伊達工のブロックの手を弾きながらもネット上を平行に流れていく。
澤村さんと伊達工の6番が同時にその行く末を追いかけ、みんなが息を飲んで見守る中で伊達工のコートへと落ちた。
ー ピッー! ー
一瞬静まりかえる空気の中を、審判のホイッスルが試合終了を告げた。