第39章 聳え立つ壁
月「王様・・・ネットからちょい離したトス頼むね。ブロックに捕まりたくないから」
「・・・ンダヨ」
・・・伝達じゃないのかよ。
月「はぁ?」
「わかったっつってんだよ!」
月「いや、明らかに言ってなかったよね。庶民には指図させたくないですか、そうですか」
「はぁっ?」
コイツ・・・いちいち腹立つ腹立つ!
田「お、お前らヤメロ・・・ったく、学習しねぇな!」
クソッ・・・とりあえず試合に集中・・・って、次は日向のサーブかよ!
まさか・・・失敗なんかしねぇだろうな!
澤「日向ナイッサー!」
ー ピッ! ー
日「あっ・・・あぁっ!」
って、失敗すんのかよ!
日「す、すみません!!」
「ボゲェ!日向ボゲェ!サーブ失敗するとか何やらかしてんだ!」
田「日向ドンマイ!切り替えろ!」
レシーブだって全然だってのに、サーブくらいまともにやれってんだ!
ぐちゃぐちゃになりそうな思考を修正させてるうちに、伊達工からのサーブが届く。
西「っしゃぁ!」
西谷さんは難なくそれを拾い、俺にボールが届く。
月島は・・・ネットからちょい離したトス、だったな。
視界の端で動き出す月島に合わせて、言われた通りにトスを上げてやれば、月島はただ真っ直ぐにボールをスパイクして伊達工のコートへと叩き落とした。
・・・よし、これでサーブ権は烏野へと戻る。
けど、東峰さん、田中さんと順にスパイクを決めるも特に点差が開くことはなく、伊達工、そして烏野といった具合いに1歩ずつな点の取り合いが始まる。
一気に点差を開きたいところだが、なかなか上手く行かねぇ・・・
まだ試合は始まったばかり・・・焦りは禁物だ。
そう考え始めた時ローテーションが動き、前衛に日向が戻って来る。
日向か・・・まだ日向との速攻は完全には防がれてはいない。
もう一度アレ・・・使ってみるか・・・