第39章 聳え立つ壁
~ 影山side ~
チッ・・・・・
日向にトスを上げるも、またあの伊達工の7番にブロックされてコートにボールが落ちた。
あの7番を上手く交わして点に繋げるとしたら・・・
日「くっそ~!」
・・・コイツだ。
「日向、気にすんな。次は・・・絶対にキマる」
日「絶対・・・?あっ、やんのか?!ギュンの方!」
アレをやるぞと言えば、日向はあからさまに顔を明るくしやがる。
ま、それもそうだろ。
「えらい久々な気がすんな・・・お前の1番のジャンプ、1番のスピードで飛べ。ボールは俺が・・・持って行く」
日「おぅ!」
「ただ・・・あ、いや、なんでもねぇ」
ただ・・・立て続けにアレを使えば、鉄壁と呼ばれる伊達工のブロックにはそう時間を待たずにすぐに捕まっちまう。
音駒との練習試合の時でそれは経験済みだ。
あの時、音駒に日向を攻略されたのはもちろん向こうのミドルブロッカーが粘っていたのもあるけど・・・それより、あのセッターが凄かったってのもある。
だから日向をどう使うか、どこで使うか・・・だ。
ー ピッ! !
審判のホイッスルで、伊達工からのサーブが飛んで来る。
西「龍!」
田「よっしゃ!」
ボールを田中さんがレシーブして俺に繋げば、同時に日向がコートの中を走り出す。
伊達工は・・・よし、まだ大きな動きはない。
どんなに神経尖らせても、リードブロックじゃ・・・追いつけねぇよ!
床を踏み切って飛ぶ日向に合わせてボールを送れば、振り抜いた手が瞬時にボールを伊達工のコートへと押し打つ。
ー ピッ!! ー
日「よっしゃぁぁぁ!」
「っし!」
いつもと変わらない手応えに、思わず自分もグッと手を握る。
田「やるじゃねぇか日向!」
西「よくやった翔陽!」
まずは・・・1点。
この先あと何回コレを使えるかはまだ分からない。
ただ言えるのは、何回使おうが、それを止められようが・・・勝つのは俺たちだ。
じわりと滲む汗を肩口で拭い、次のターンはとコート内を見れば・・・そうか、リベロの出入りが・・・って事は・・・
西「月島、頼むぞ」
月「・・・はい」
クソッ・・・コイツかよ。
月島が西谷さんと入れ替わり、コーチからの伝達があるのか、感情を顔に出さないままこっちへ向かって歩いて来た。