第39章 聳え立つ壁
『いいじゃん別に!だって本当のことなんだし!』
そう言い切ってベーッとすれば、繋心も笑顔を見せる。
繋「ま、西谷のおかげでチームの空気がいつも通りになった。あとはアイツらがどう頑張るか、だ。それより紡、お前そろそろ上に上がっとけ。じゃないとまた猛烈ダッシュするハメになるぞ?」
『えっ?あ、そうだった!』
今度はマグボトルを忘れないようにしなきゃと、1度みんなの所へ顔を出す。
『大地さん、私はそろそろ向こうに上がってます。繋心にも言われたし、試合が始まる時に間に合わなかったりするのもイヤなので』
澤「分かった。あぁ、くれぐれも通路走ったり階段踏み外したりするなよ?」
『・・・そんなにお子様ではありません』
旭「さっきはちょっと危なかったけどね」
私がそう言うと、後ろから東峰先輩が笑いながら声を掛けてくる。
菅「さっきはって?旭と一緒にここに来るまでに何かあったのか?」
旭「あー・・・まぁ、いろいろだよ。ね、城戸さん?」
『あはは・・・そうですね・・・』
ズルいなぁ、東峰先輩。
自分がその話を振ったのに、私にリターンしてくるとか。
『まぁ、その話は置いといて。私そろそろ行きますね?東峰先輩・・・壁から飛び降りる腹を括るのは、自分自身ですからね?』
旭「壁から、飛び降りる・・・そうだね、1度は飛び降りれたんだから、今度はブチ壊すつもりで頑張るよ」
部に戻った時の事をお互いだけが分かる言葉で交わせ
ば、東峰先輩は小さく笑って、それから大きく頷いた。
『折角だから気合い入れときます?』
旭「え?!あ、あ~・・・うん、頼もうかな・・・?」
『了解です。じゃあ、後ろ向いて下さい?』
おずおずと私に背中を向けた東峰先輩に、精一杯の祈りを込めて思いっきり背中をタッチする。
旭「痛っ!!なんか前のより思いっきり過ぎない?!」
『だってここが東峰先輩の正念場ですもん・・・ファイト!』
涙目の東峰先輩に笑いながら、手荷物を持って観客席へと駆け出した。
ここを勝ち進んだら、次は・・・青城と当たるんだ。
絶対勝ちたい・・・勝って欲しいから、私は私に出来る事を頑張ろう。
そう胸に誓って、観覧席へと続く階段を踏みしめた。