第32章 不協和音
~ 菅原side ~
澤「···と、いう訳なんだよ」
「へぇ、女バレがねぇ···で?大地は紡ちゃんに言ったの?」
朝っぱらから2人して深刻な顔してたと思ったら、そんな話があったのか。
澤「いや、それは俺はなんにも。道宮が自分らの問題だから、とりあえず話だけでも聞いて貰いたいからって。多分、今頃は教室に向かってんじゃないのか?クラス聞かれたし」
でも、紡ちゃんは断るような気もするけどなぁ。
だって···
相手は青城の女バレだろ?
青城には、さ。
いるじゃん···そう簡単には会いたくないだろう人間がさ。
「大地はもし道宮に泣き付かれたら、どうするの?紡ちゃんを説得するの?」
澤「どうだろうな···紡が青城に行きたがらない理由も知ってるし、けど···道宮の気持ちも分かるし。それに···」
「紡ちゃんを女バレに勧めないでウチのマネに入れた事が後ろめたいんだろ、大地は」
澤「ハハッ···まぁ、何とも」
あの時の大地の行動力には、オレだってビックリしちゃったからな。
まさか影山に頼んで桜太さんにコンタクト取るとは思わなかったし。
桜太さんが凄く懐の広い理解力のある優しい人で良かったよ···ホント。
ちょっと変に考えたら、オレ達ヤバイ人だと思われてもおかしくないしな。
澤「ただ、さ?俺、ちょっと見てみたいなって気持ちもするんだよ」
「何を?」
澤「紡が、ちゃんとしたプレーをしてる姿を···かな?普段は紅白戦とかで俺達に混ざってコートにいるけど、もし···女子の試合に入ってたら、どんなプレーをするのかなって」
あぁ···なんかその気持ちはオレも分かる。
「紡ちゃんと、話···してみよ、」
ー 生徒の呼び出しをします。1年3組、城戸紡。至急、職員室の和泉まで。繰り返します、1年3組、城戸紡。至急、職員室の和泉まで ー
「今のって···?!」
澤「青城の練習試合行く時にも呼び出された···アレだな」
平穏な昼休みに響く、強烈なあの英語教師の呼び出し。
しばらくなかったのに、なんで今頃?
もしかして···また、あの話が出るのか?
何となく嫌な予感がして、オレは大地と顔を合わせた。