第31章 ステップアップへのチャンス

なに···いまの···

日向君のサーブを音駒サイドが拾って、研磨さんに繋がった···と思ったら。

烏野とは違う感じでオトリを出して、バックアタック。

打ち放たれたボールは日向君の顔面レシーブでコートに落ちる事はなかったけど、代わりに音駒コートへと弧を描く。

黒｢チャンスボール！！｣

クロさんがレシーブして研磨さんへ繋ぐ。

···そのままクロさんが動いた！

研磨さんもそれを見てトスフォームに入ってる！

今度はクロさんにトスが上がるんだ！

一瞬だけ烏野コートを見れば、ちゃんとチェックしてる。

だったら次は、ブロック対応できるはず！！

···え···？

ー ピッ！ ー

研磨さんとクロさん···速攻···

しかも、凄く馴染んだ2人のプレー感。

中学の時、及川先輩達がやってるのを近くで見たことあるけど、それとはまた違う。

夜久｢山本ナイッサー！｣

音駒のサーブの軌道を見て田中先輩がレシーブするも、ボールの軸を捕らえきれなくて、レシーブがブレた。

田｢ヤベッ！すまんカバー！｣

ブレて軌道を変えながら上がるボールに西谷先輩がフォローに入り込む。

旭｢オープン！！｣

東峰先輩が合図を出した。

西｢旭さんっ！｣

それを見て西谷先輩がレシーブで高めにボールを上げる。

東峰先輩のスパイクなら···これならきっと烏野に流れを持って来れるかも！！

見慣れて来た東峰先輩のスパイクが轟音を響かせながら空を切る。

その行方は？！

夜｢ッ！！｣

東峰先輩の渾身のスパイクを、夜久さんがレシーブした？！

ポールの着地点には既に夜久さんが入り込んでいて、ボールの流れは切られてしまった。

すかさずコート全体を見れば、クロさんがまた前に出ている。

もしかしてまた速攻来る？！

予想する研磨さんとクロさんの速攻に向けて、自分の神経をその一瞬に集中させる。

···飛ばない？！

これはフェイクなの？！

一瞬の出来事に驚いた瞬間···研磨さんがクロさんにトスを上げスパイクが打たれてしまう。

ー ピッ！ ー

ひとり···時間差···？

烏野のブロックのタイミングを見事にずらしてスパイク···

山｢ナイスキー！クロさん！！｣

これでまた···音駒に点が入った。

烏野では、これまでの練習で見た事ないプレーだと思った。