第31章 ステップアップへのチャンス
~ 影山side ~
クソっ···まだ少し高かったか!
調整するにも、スゲー神経すり減らす···って!
またアイツは!!
ネット越しに音駒のキャプテンと何やら言葉を交わし合う日向に駆け寄り首根っこを掴む。
「おいっ!」
日「なにすんだ影山!」
「次はいつもの速攻やるぞ」
日「あ?ギュン!の方か?」
ネットから引き離し日向に小声で伝えるも、不満そうな顔をしやがる。
「そうだ」
日「ふわん···の方、段々合わせられるようになって来たのに···?」
「ダメだ。アイツが前衛にいる間は···ダメだ」
さっきまで日向に張り付いてたあの7番とは、なんか違う。
日「···なんで?」
「なんとなくだ」
日「は?」
「直感だ」
こう、オレの感覚が···今までの経験が···
あのデカい音駒のキャプテンには、調整中の日向の速攻は使えないと、そう感じさせる。
まだあの7番ならまだごまかしが聞いてる気がするけど、アイツは···ダメだ。
「澤村さん、ちょっと···」
後ろにいた澤村さんに声を掛け、あの1番が前にいる間はさっきまでの速攻は使わないからと伝える。
澤「そうだな···俺もどうとは言い難いけど、向こうは3年で、言うなれば試合数も経験も···俺達よりずっと多い。だとしたら、今の日向のは簡単に止められてしまうかも知れないからな」
「ゥス···」
澤「その辺の判断は影山に任せるよ。その判断で旭や田中も上手く使えばいい。そして、もしなにかあったら···バックは俺達に任せろ」
西「そうだぞ影山!オレ達だってお前らコンビに負けてらんねぇからな!ね!旭さん!!」
旭「えっ?!あ、あぁ、うん···そうだな」
西「旭さん!ここは気合で、俺に任せろ!くらい言ってくださいよ!」
旭「そんな急に言われてもだな···」
東峰さんと西谷さんのやり取りを見て、澤村さんがまた始まった···と笑う。
澤「ま、そういう事だ。頼むぞ影山?」
「はい!」
よし···澤村さんの許可も貰った。
音駒の今のローテは、日向のいつもの速攻で掻き回してやる。
あのミドルブロッカーをギリギリまで引っ張って、上手く行けば日向。
ダメそうなら、東峰さんや田中さんにトスを回す!
···あのセッターにも、負けねぇ。