第29章 ネコと呼ばれる人達
~日向side~
「ぐっぁ~···」
影山には負けねぇ!
ぜってぇ負けねぇ!!
分け目も振らず、とにかくダッシュ!
負~け~ね~ぇぇぇぇ!!!!!
「って···あれ?誰も···来ない」
ふと我に返って周り振り返っても、みんなの姿どころか足音さえ聞こえない。
道···間違えた?かな?
にゃぁ~ん···
戻ろうかどうしようか迷っていると、どこからか聴こえてくる猫の鳴き声。
それにつられて顔を向けると···猫···と、人?
真っ赤なジャージ···ここらで見ないジャージだ。
もしかしたら道に迷ってんのかも知れないし、声···かけてみるか?
···オレも道に迷ってるかもだけど。
「ねぇ、なにしてんの?」
ー え?···あ···えっ···と···迷子··· ー
やっぱり迷子か!
でも、こんなところで迷子?
「よそから来たの?」
もう1度声をかけると、うん、とだけ頷いてスマホをずっと動かしてる。
「それ、面白い?」
チラッと覗けば、なんだかよく分かんないけどゲームの画面みたいだし、何となくそんな事を聞いてしまう。
ー え?別に、これはただの暇つぶしだし ー
ふ~ん···ジャージ着てるって事は、部活···とかかな?
なんか荷物もそれっぽいし···って!
「あっ!バレーやんの?!そのシューズ、バレーの!!」
カバンから見えたシューズを思い切り指差して聞く。
ー あ···う、うん··· ー
「オレもバレー部!オレ、日向翔陽!」
ー こづめ··· ー
「こづめ?···名前?」
ー 孤爪···研磨··· ー
そっちが名前か!
「研磨かぁ!高校生?何年?···オレ1年!」
研「···2年」
え···?2年?!
日「ヤベッ!センパイだ···すみません!!」
知らなかったとはいえ、センパイに超タメ口しちゃったよ···
研「いいよ。そういう体育会系の上下関係みたいの、キライだ」
てっきり、ふざけんな!1年が!とか言われると思ったけど、なんか···まぁ、よかった、かな?
「あ···そ、う?えっ···と、バレー好き?」
研「ん···別に。何となくやってる。キライじゃないけど、疲れるのとかスキじゃない。けど、友達がやってるし、おれ居ないと多分、困るし」
ふ~ん?
「好きになったら、もっと楽しいと思うけどなぁ」