第29章 ネコと呼ばれる人達
~月島side~
ー ピッ! ー
もう、何度目かの点が入る。
連続で僕にスパイク打たせるとか、ポチも、ポチのお兄さんも何考えてんの?
いい加減、疲れるんだけど。
澤「縁下ナイッサー!」
だいたい何なの?
この適当過ぎるルールは。
こんなのホントの試合じゃないんだから、別に闘志ムキ出しでやらなくてもいいデショ。
慧「坊主君!」
『月島君!来るよ!!』
···ちゃんと見えてるし。
「ポチ、うるさい」
『うっ···』
チラリと視線だけを投げつければ、ポチは妙に小さくなった。
あぁ、小さいのは元からだったよね。
いつだってちょこまかと走り回って、油断すると見失ってしまう。
ホント、子犬そのものだよキミは。
だからこそ、僕は目が離せないんだ。
慧「日向!」
向こう側でトスが上がり、日向が駆け込んで来て···僕もタイミングを合わせて、飛ぶ!!
日「ぐあぁっ!止められた?!」
「当然デショ···王様と組んでない時の日向は、カンタンなんだよ」
フンッと鼻を鳴らし、肩口で汗を押さえる。
日「さっきも縁下さんに騙されたし!月島にも止められるし!」
『日向君落ち着こ!ね?次は頑張れるよ!』
「頑張られたら、コッチが負けるんだけど?」
わざと聞こえるように大きな息を吐きながら、ポチの方も向かずに言い放つ。
『あ···ハハッ、そうでした···日向君、程々に···頑張って?』
日「ええっ?!もっと全力で頑張れって言ってよ~!」
『ん~···じゃあ、』
···言わせるワケないだろ。
腕を伸ばし、ポチを抱き寄せる。
誰が見てようと関係ない。
「悪いケド、いまポチは僕と同じチームだから。そんなに気合い入れて欲しかったら、ホラ···そこの髭オシャレな2人に言って貰いなよ?」
慧「髭オシャレ?」
旭「ははは···」
日向が振り返り、目的の人物を見てゲンナリする。
日「城戸さんに言って貰う方が、頑張れるのに···」
ポチには絶対に言わせない。
慧「あ~、日向?一応オレも、その城戸さんなんだけどな?···って事で、頑張れ!」
日「痛ってぇ!慧太さん!加減なし?!」
バシンと背中を叩かれ、日向が呻くのを見てコッソリ笑う。
···さぁ。
ゲーム終了まで、もう少し。
ポチ、いいトスあげなよ?···僕にさ?