第33章 episode0
返答出来ない私に、クロは淡々と説明を始めた。
なんでも、彼女は付き合う前から元カノである私と暮らしているのを知っていたらしい。
別れたからって、完全に無関心になれる男の方が信用出来ないし、事情があるなら一緒に暮らすのは問題ないけど、一度はその元カノ…私と話をしてみたい、と。
ドロドロとした嫉妬心とかじゃなく、純粋に私に興味があるような感じだ。
私達の事を理解してくれる女性なんて現れなくて、本当にクロが30になるまで待てたら、なんて思っていたけど。
あっさり、それが出来る女性を見付けられるのは、クロがイイ男だからだな。
私の方も、その彼女に興味がわいてきた。
「いいよ。会っても。いつなら都合良いの?私、土日は大体仕事だよ?」
決めたなら、早い内にしないと興味が薄れる。
薄れたら、私の嫉妬心が勝って嫌な事も言ってしまいそうだから、日取り決めを急かすように問い掛けた。
クロは気まずそうに頭を掻いている。
そんなに、オーケーを出した私が意外だったのか。
「…いや、その、だな。彼女と、これから会う予定で、な…。ついてきてくんね?」
いや、違った。
このまま、今すぐ会わせるつもりだったんだ。
気まずそうにしてたのは、言い出し辛かっただけか。
始めから、拒否権なんか無かったんじゃないか。
嫌かも、何もあったもんじゃない。
会っても構わないし、興味があるのは本心だからついて行く事にした。