【マギ】 ジャーファル、あなたのために。~亡国の姫~
第16章 能力を知りました。
セリシアside
「ああ、もう・・。」
ジャーファルさんをみてると、どうしても思ってしまう。
好きだよ、と・・・。
もちろんいつ起きるかわかんないし、口に出せる言葉じゃないけどさ。
私のものだったらいいのに。
無理な話だけど、なんとなくそう思ってしまう。
「ジャーファルさんは・・・。好きな人、いますか?」
返答がないのをわかりながら言う。
というかむしろ、返答が来ないために今言った。
だって、これでいる、なんて言われたら。
きっと泣いてしまう。
だってそれはきっと私じゃないから。
私なわけがないから。
「絶対モテるでしょ?」
多分、王宮内にも好きな女中はいるだろう、と思う。
だって、こんなにかっこよくて、かわいいのだから。
矛盾してる気もするけど、その二つの言葉はぴったりだと思う。
この人は、今までどんな恋をしたんだろう?
したことなかったりして。
まさかね、そんなわけないでしょ。
私、この人のこと全然知らないんだよな。
どんな恋をしたんだろう。
どんな育ちをしたんだろう。
頭いいし、戦闘能力もあるから、いい育ちなのかな。
でも、だったらどうしてこの国の政務官なんだろう?
「私、知らないこといっぱいだよ・・・。もっと知りたい、あなたのこと・・・。」
安らかに寝息を立てるジャーファルさん。
ああ、かわいいな。
そして・・・。
「愛しいよ・・・。」
そう呟いて、なんとなく、頭を撫でようとした。
触れたい、と思ったから。
それで、額に触れた・・・瞬間だった。