第11章 珈琲色
「しぇけしぇけ~しぇきんよばーでー♪」
キッチンから楽しそうな歌声が聞こえてくる。
なんで俺のソロ曲歌ってんだ…
「しゃけしゃけ~しゃしゃけっ♪」
「おい…いつから俺の歌は鮭の歌になったんだ…」
「あっ…まちゅじゅん…おかえり!」
今日はえらい上機嫌だ。
「はいはい…ただいま」
ちゅっとキスすると、その顔は満面の笑みになる。
「ねえねえ!見て!こんなに細かくなったよ!」
「はいはい…頑張ったねみじん切り…つか、まじこまけえな…」
まな板の上には、超細かくなった玉ねぎ。
この人の得意技だ。
「だって、まちゅじゅんが細かくしといてって言ったんじゃん」
「いや、うん…立派です。翔くんじゃこうは行かないからね…」
「やぁだなぁ…翔ちゃんと一緒にしないでよ…」
ぷうっと頬を膨らませ口を尖らせて…
子供か…
「俺がなんだって?」
キッチンの入り口に翔くんが凭れてる。
不満げな顔をしてる。
「あっ…翔ちゃんおかえり!」
「どうせ俺は不器用ですよぉーだ…」
「おかえり、翔くん」
「おうただいま。潤」
ちゅっと俺にだけキスすると、翔くんは冷蔵庫に買ってきたビールをしまい始めた。
「翔ちゃん…俺にちゅーは?」
「俺、不器用だからいっぺんに二人は愛せないな…」
「えええっ…なんでそんな意地悪言うんだよ!」