第7章 グレイ scene5
新しい社屋の会議室には、沈黙が落ちていた。
「なにか、心当たりはないの?櫻井」
いきなりチーフマネを飛び越して、副社長は俺に声をかけてきた。
「いえ…」
言いよどむ俺をどう思ったのかは分からないが、話はそこで終わった。
「とにかく…心当たりのある所、全員で当たって。警察は、その後よ」
「わかりました」
チーフが答えると、副社長は会議室を出ていった。
その後、俺達を残してマネたちは電話を始めてる。
どこか、心当たりに電話してるんだろう。
―――松本が行方不明になった
会議室でいきなり告げられた事実に、メンバーは驚いて声も出せなかった。
潤のマネから事の経緯を説明されたが、ほとんど耳に入ってないようだった。
「なんで…?なんかあったのかな…」
沈黙を破ったのはニノだった。
「昨日は普通に仕事してたんでしょ…?今朝になっていきなり連絡取れなくなったって…」
「事件に巻き込まれたのかな…」
雅紀の声は低い。
「やめてよっ…縁起でもないこと言わないで」
「ごめん…」
智くんはじっとテーブルの上のカップを見つめてる。
でも、どんなに考えても皆わからない。
「潤くん…どこ行ったんだろう…」